●マリーン・レイク

メディスン・レイクから車をとばして、最初の遊覧船が出る10:00amになんとか間に合った。しかし、女性用トイレの前に長〜い列が! うっそー、これを待っていたら、船が出てしまう。でも行かずに船に乗るわけにはいかない。90分のクルーズの間、トイレには行けないのである。

こんな時、長年ここに住んでいる経験が役に立つ。カナダ人は多少の遅れは気にしないことを知っているので、ずうずうしくもシュテファンに「船が出そうになったら止めておいて!」と頼み、列の後ろに並んだ。最初こそヤキモキしたものの、そのうち開き直る。おそらくここに並んでいる人の中にも、同じ遊覧船に乗る人がいるはずだ…と。

思った通り、私が桟橋に行った時、既に出発時刻を過ぎていたにも関わらず、船はまだ出航の体制にすら入っていなかった。
あー、だからカナダって楽だわ。これが日本だったら、遅れて船に入ったとたんに、船中のほとんどの人から非難の視線を浴びせられるはずだもの(だから日本では時間厳守するようにしているが)。

このマリーン・レイクは、カナディアン・ロッキーの中で私が好きな湖の一つである。訪れるのは4度目、遊覧船は3度目だ。
以前は、マリーンとはmarineのことだと思っていた。海のように大きいから、あるいは海のように深いブルーだから、こういう名前なのかと勝手に解釈していたが、このマリーンはフランス語のmaligneで、「意地の悪い」「他人を困らせて喜ぶ」という意味だそう。1846年にフランス人宣教師がこの湖から流れ出る川を渡る時、急流で馬と食料を流されてしまったことから、この川をマリーン・リバーと名付け、上流の湖がマリーン・レイクとなったのである。

マリーン・レイクはカナディアン・ロッキー内で最も大きい湖で、全長1676mもある。定員40名くらいの遊覧船は、このいちばん奥まで行き、ロッキーのビューポイントとして3本の指に入るほど有名なスピリット・アイランド(実際は島ではなく半島)が見える地点まで行って上陸。そしてまたひたすら帰ってくるというクルーズだ。でも遠くにムースやマウンテン・ゴートが見え、山の景色は刻々変わるし、水の色もどんどん変化していくので、飽きることがない。一度に8名までという制約があるが、船の後ろのデッキに出ることもできる。

出発してから30分ほどでスピリット・アイランドのビューポイントに到着。湖畔の小道を歩いて行くと、道が上下に分かれる。迷わず上のほうへ。まず上のポイントから写真を撮り、その後、下に下りてみる。高低差はそれほどあるわけではないが、上と下から見た景色は、微妙に違う。私は、上から見るほうが、景色に奥行きがあって好きだ。

15分と短い上陸なので、あわただしく写真を撮るだけで終わってしまうのが残念。次の船で帰ってもいいのなら、岩の上にでも腰掛けて、このまま心行くまでスピリット・アイランドと周囲の景色を眺めていたいところだ。

今回も後ろ髪を引かれる思いでスピリット・アイランドを後にする。船つき場に戻って、正面にある大きなロッジに行ってみる。ここにはレストランとお土産屋が入っている。もちろんトイレも。 このお土産屋に、キーホルダーが付いた小さいムースの縫ぐるみがあり、あんまり可愛いのでつい買ってしまった。「ムーちゃん」と名付けられたコイツは、以来ずーっと一緒にカナダを旅することになる。

レンタカーがなくても、マリーン・レイクにはバス・ツアーで行ける。
BREWSTERという会社の「Tour J6:Maligne Lake Cruise」は、遊覧船も含んだ ツアーで、午後1時出発、所要約5時間だ。料金は大人C$59、子供C$29.5(2000年の料金)。メディスン・レイクにも止まる。私は過去2回、このツアーを利用している。

午前中の予定はすべて順調に消化できた。
これからジャスパーに戻って、いよいよアイスフィールド・パークウェイへ---ロッキーの懐へと深く入っていく。


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